2023年9月8日(旧暦七月二十四日) 快晴、小松を発んと欲す 元禄二年七月二十五日(1689年9月8日)

昨日夜降った雨も上がり快晴となった朝、芭蕉と曽良は小松を発とうとしましたが、それを聞いた地元の人々は北枝を通じて留まるようお願いし、芭蕉は小松に留まることにします。

北枝は生家と同じ町内の勧生らの頼みは断りがたく、芭蕉も地元俳人らの熱心さに小松に新しい俳諧の種を蒔くチャンスと思ったのでしょう。しかし、是は曽良にとって予定外のことでした。宿を建聖寺に移し「多田神社へ詣デゝ、実盛ガ甲冑・木曽願書ヲ拝。」 左写真は建聖寺に残る北枝作の芭蕉像です。

「実盛が甲・錦の切あり。往昔(そのかみ)、源氏に属せし時、義朝公より賜はらせ給とかや。げにも平士(ひらさぶらひ)のものにあらず。目庇より吹返しまで、菊から草のほりもの金(こがね)をちりばね、竜頭に鍬形打たり。(略) むざんやな甲の下のきりぎりす」(おくのほそ道)とあります。

この「きりぎりす」の句は後日二十七日に奉納した「あなむざんや甲の下のきりぎりす」がもとの句です。

多田神社のあと山王宮(本折日枝神社)の宮司宅で、小松の俳人多数が連座した十吟四十四(よよし)連句興行を行いました。

発句は芭蕉の「しほらしき名や小松吹く萩薄」でした。

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