2023年5月16日(旧暦三月二十七日) 芭蕉、旅立つ。元禄二年三月二十七日(1689年5月16日)

芭蕉、旅立つ。

「弥生も末の七日、明ぼのゝ空朧々として、月は在明にて光おさまれる物から、不二の峰幽かにみえて、上野谷中の花の梢、又いつかはと心ぼそし。むつましきかぎりは宵よりつどひて、舟に乗て送る。」と「おくのほそ道」にありますが、この描写はどう考えても二十七日の朝の月にふさわしくありません。なぜ、芭蕉はあえてこのように書いたのかこのたびの間に考えてみたいと思います。

なお、この部分は「源氏物語」光君と空蝉との後朝の有明が下敷きになっています。

今日芭蕉は千住宿から日光街道を歩き、草加宿を通過して春日部迄脚を延ばし、おくのほそ道の第一夜を春日部宿とします。私もいま同地に居ますが、芭蕉も今夜春日部のどこかの宿で寛いでいるはずです。

其日漸草加と云宿にたどり着にけり」と芭蕉はおくのほそ道の第一日目の宿を草加としました。なぜ事実通りカスカベにしなかったのでしょうか。この謎についても考えてみたいと思います。

左の写真は、日光街道に大切にされ植え継がれている草加の松並木です。今日歩いていますと、ほんの一刻ほど前に芭蕉さんが通って行かれたよって声が聞こえたようでした。

コメント

  1. 今日は17日、やっと投稿欄迄たどり着くことが出来ました。(ただ最初の表題が文字化けで読み取れません。いろいろクリックして何とか投稿欄にたどり着きました)
    貴方の古典への造詣には感服致します。
    私はこれまでの人生で身に着けたものがあまりなく「ぼ~っと生きて来た」のかも知れません。このブログを拝見しながら古典の味わいと旅先の土地、土地の様子を拝見したいと思います。
    今日のお宿はどちらかな。

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