2023年8月19日(旧暦七月四日) 天屋、不快シテ出ズ 元禄二年七月五日(1689年8月19日)

五日、出雲崎を発った芭蕉は雨の中柏崎に到着、象潟で芭蕉に随行しおくのほそ道本文に句を残している「みのゝ国の商人 低耳」(宮部弥三郎)の紹介状を持って、大庄屋天屋に宿を求めます。

「出雲崎ヲ立。間モナク雨降ル。至柏崎、天ヤ弥惣兵衛へ弥三良(低耳のこと)状届、宿ナド云付ルトイヘドモ、不快シテ出ヅ。道迄両度人走テ止、不止シテ出。小雨折々降ル。」この「小雨折々降ル」に、曽良のこの時の気持ちが現れているようです。

天屋跡の北200mぐらいのところに、「天屋旅館」という料理旅館が現在営業中です。明治時代の創業だそうで、芭蕉と曽良が尋ねた「天屋弥惣兵衛」とのつながりは見当たりませんが、何らかの理由があっての命名だと思われます。もし、末裔の係累の方が関係されていたとしても、わざわざ雨の中紹介状を持って訪ねてきた芭蕉を追い返した「天屋」だということは、あまり名誉なことではないですから、敢えて言わないのかもしれません…

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