2023年6月26日(旧暦五月九日) 更に宿かすなし 元禄二年五月十日(1689年6月26日)

「小野と石ノ巻ノ間、矢本新田ト云町ニテ咽乾、家毎ニ湯乞共不予(あたへず)。」と曾良旅日記にあります。

芭蕉は石巻に着き、「思ひかけず斯る所にも来れる哉と、宿からんとすれど、更に宿かす人なし。漸(やうやう)まどしき小家に一夜をあかして、明くれば又知らぬ道まよひ行く。」

実際は矢本で出会った根古村のコンノ源太左衛門と名乗る侍の知人宅で湯を分けてもらい、石巻の宿もこの侍の紹介で、新田町の四兵へという旅籠屋に泊まっています。よそ者には厳しい土地柄だったのかもしれません。

芭蕉は日和山の上り、石巻の町や島々などの遠望を愉しみ、宿への帰りに義経ゆかりの袖の渡りなどを見物しました。

「数百の廻船入江につどひ、人家地をあらそひて、竈の煙立つづけたり。」という石巻は、津波の為、殊に海川沿いはすっかり変わりましたが、芭蕉も食べたでありましょう肴は変わらず新鮮で美味しく、わたしも旧新田町に宿を取り、いただくことができました。

日和山の麓に残された門脇小学校旧校舎を眼前にして

ただ、ただ

泪が止まりませんでした…

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