2023年6月25日(旧暦五月八日) 神前に古き宝燈有 元禄二年五月九日(1689年6月25日)

「早朝、塩がまの明神に詣。国守再興せられて、宮柱ふとしく、彩椽(さいてん)きらびやかに、石の階(きざはし)九仭に重り、朝日あけの玉がきをかゝやかす。」

曽良旅日記には「九日 快晴。辰ノ剋、塩竃明神ヲ拝。」とあり、「法蓮寺門前」の宿に泊まっていた芭蕉は、7時ごろに参詣しました。法蓮寺は塩竃寺ともいわれる神社の別当寺で、裏参道入口辺りから森山中腹にかけて多くの堂塔が威容を誇っていたそうです。当時の裏参道は、現在の東参道(裏坂)ではなく、七曲坂と呼ばれる古い坂の方だと思います。


「神前に古き宝燈有。かねの戸びらの面に、『文治三年和泉三郎寄進』と有。五百年来の俤、今目の前にうかびて、そぞろに珍し。渠(かれ)は勇義忠孝のの士也。佳名今に至りて、したはずといふ事なし。誠『人能道を勤、義を守べし。名もまた是にしたがふ』と云り。」

和泉三郎は藤原秀衡の三男忠衡、宝燈の銘には「奉寄進 / 文治三年七月十日 和泉三郎忠衡敬白」とあります。秀衡はこの年十月に亡くなります。その時には源義経は平泉にいましたから、この宝燈寄進の頃平泉に逃げ延びていたかもしれません。そして父秀衡の遺言に背いた泰衡のために義経は文治五年閏4月衣河の館で自害、六月和泉三郎忠衡も兄泰衡に討たれます。

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