2023年6月9日(旧暦四月二十一日) 俳有 元禄二年四月二十二日(1689年6月9日)

 

須賀川到着その日、はやくも芭蕉、等躬、曽良のよる三吟歌仙が巻かれました。

「奥州岩瀬郡之内須か川 相良伊左衛門にて/ 風流の初やおくの田植歌 翁/ 覆盆子(いちご)を折て我まうけ草 等躬/ 水せきて昼寝の石やなをすらん 曾良(略)」と旅日記俳諧書留にある、芭蕉の挨拶句を立句とする歌仙です。(この歌仙は二日にわたり、満尾は翌二十三日でした。)

写真は等躬屋敷跡に建つ「風流のはじめ館」です。


一昨日二十日、芦野で立ち寄った遊行柳でも田植でした。寄居宿の古老に聞いたところ、昭和30年頃はまだ6月10日前後が田植えの時期で学校も休みになったとのこと。江戸時代とほとんど同じ時期に田植えがされていたようです。(現在は半月あまり早くなっています。)芭蕉は田植の最中の奥州街道を須賀川まで来たに違いありません。そのなかで、関を越え田植歌が変わったことに気づき、そのいかにも鄙びた古雅な調子に惹かれたのでしょう。もしかしたら、北に進むにつれ少しずつ田植えの時期がずれていくのに気づき面白く感じたかもしれません。

「なひのなかの うぐいすは なにをなにをと さへづる くらますにと かきそへて たわらつめ やンじゅろうと さへづる」(須賀川仁井田に残る田植歌)


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