2023年6月18日(旧暦五月朔日) 温泉(いでゆ)あれば 元禄二年五月二日(1689年6月18日)

「其夜飯塚にとまる。温泉(いでゆ)あれば、湯に入て宿かるに、土座に筵を敷て、あやしき貧家也。(略)雨しきりに降て、臥る上よりもり、蚤、蚊にせゝられて眠らず。持病さへおこりて、消入る計なん。」とおくのほそ道に書かれています。

これは多分に、芭蕉の脚色だと思います。飯塚は飯坂温泉のことです。「飯坂」のことを「飯塚」ともいうとの説もあるそうですが、曽良は旅日記に「飯坂」と表記してしますから芭蕉の思い違いかもしれません。「飯坂」は「いいざか」と読みますので、福島弁の「ざ」を「ず」と聞こえたとの説もあります。あるいは飯坂をいいように書いていないため、芭蕉があえて地名を違えて書いた可能性もあります。

飯坂温泉は古からの名泉で、鯖湖の湯ともよばれていました。「名前の由来は、西行法師がこの湯を訪れた際、『あかずして 別れし人のすむ里は 左波子(さはこ)の見ゆる 山の彼方か』と詠み、そこから『鯖湖の湯』という名が定着したとも云われています。」とHPにありますが、元禄の頃にはどうだったのでしょう。ただ泉質は変わっていないと思います。単純温泉で高温、pHも高く、いい温泉で芭蕉の持病にも聞いたはずなんですけど…。

ちなみに、鯖湖湯の湯温は46度、泊まった宿の湯温は45度でした。

コメント

このブログの人気の投稿

2023年5月16日(旧暦三月二十七日) 芭蕉、旅立つ。元禄二年三月二十七日(1689年5月16日)

2023年10月27日(旧暦九月十三日) 谷木因 元禄二年九月十五日(1689年10月27日)

2023年10月18日(旧暦九月四日) むすびの地 元禄二年九月六日(1689年10月18日)