2023年6月11日(旧暦四月二十三日) 可伸庵 元禄二年四月二十四日(1689年6月11日)

 「昼過ヨリ可伸庵ニテ会有。会席、そば切。祐碩賞之。雷雨、暮方止。」と旅日記にあります。等躬の屋敷はずれにある栗斎の可伸庵で「隠家やめにたゝぬ花を軒の栗」を立句に、等躬、等雲(祐碩)らとの七吟興行が行われました。脇は栗斎、第三を等躬、曽良は第四を務めています。

曽良は俳句書留に「桑門可伸のぬしは栗の下に庵をむすべり。伝聞、行基菩薩の古、西に縁ある木也と、杖にも柱にも用させ給ふとかや。隠棲も心有さまに覚て、弥陀の誓いもいとたのもし」と記しており、本文には「此宿の傍に、大きなる栗の木陰をたのみて、世をいとふ僧あり。(略) 栗といふ文字は西の木と書て、西方浄土に便りありと、行基菩薩の一生杖にも柱にも此の木を用給ふとかや。/ 世の人の見付ぬ花や軒の栗」とありますから、芭蕉もこの「伝聞」を基にしています。

会席には歌仙に連座した等雲が用意した蕎麦切りが振舞われています。芭蕉は蕎麦好きだったようです。

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