2023年6月11日(旧暦四月二十三日) 主ノ田植 元禄二年四月二十四日(1689年6月11日)

 

「二十四日 主ノ田植。」駅長である相楽家の田植えの日です。芭蕉は、古来からの豊作を祈る一連の田植えにまつわる神事を見物しました。もちろん田植歌も歌われました。「風流の初め」を改めて実感し、感激もひとしおだったに違いありません。

じつは、貞享三年正月の其角の立句「日の春をさすがに鶴の歩ミ哉」による芭蕉も連座した百韻の第三十四句目に、「近江の田植美濃に恥らん」(朱絃)の句があり、芭蕉の評が「初懐紙評註」に、「美濃近江は都近き所にて、田植えなどの風流も、遠き夷とはちがふ成べし。」とあります。おくのほそ道の旅の3年余り前です。

また、貞享五年五月初め頃、岐阜妙照寺が己百が笈の小文の旅を終えた芭蕉を京に訪ね、「しるべして見せばや美濃の田植歌」と美濃に誘います。芭蕉は「笠あらためん不破の五月雨」と詠み、五月中旬岐阜で田植えを見ています。須賀川を訪れた前年のことです。

「今日の田植の 田んのし様は 大金持ちと来 きこえたよ 奥は奥州 南部や津軽 外が浜までも来」(須賀川仁井田の田植歌)

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